創業から続く技『総桐たんす』
1950年の創業当時から続く、伝統的な総桐たんす。
伝統工芸士が繋ぐ朝倉家具の技術と、時代に合わせて柔軟に変化するデザインのバランスを大切にしています。
日本が世界に誇る家具文化
『桐たんす』
三方が山に囲まれ、市街地に川が流れることから、
『北越の小京都』と呼ばれる新潟県加茂市。
江戸時代天明年間の頃、一人の指物師が製作した杉の箪笥から始まり、
今日には『加茂総桐たんす(昭和51年通産大臣指定・伝統的工芸品)』として、全国シェア70%を占める産地として栄えました。
昭和25年、私たちは加茂市で『朝倉タンス店』として創業しました。
桐は木?草?
桐を語る上で欠かせない話が、木へんに同じと書いて『桐』と読むという逸話。
木と同じような生育をする・・・草?
確かに桐は他の木材に比べると柔らかく、驚くほど軽いです。
わずか20年ほどで大きく成長し、渋を多く含んでいます。
この渋はセサミン・パウロニンという成分で、
抗菌・防虫・消臭作用を持っており、
弱アルカリ性で酸化を防止する、まるで魔法のような素材なのです。
国宝や重要文化財の保管用に用いられ、
日本政府の紋章に桐紋が使われていることもあり、
名実ともに我が国を代表する木材の一つであることは紛れもない事実です。
原木からの一貫生産
桐たんす製造を語る上で欠かせないのが、原材料である桐の手配。
私たちは創業当初より原木からの一貫生産体制を行っております。
自分たちで原木を買い付け、
提携先の製材所で挽き方や厚みなどを指定して製材を行います。
その後、三年ほど工場の脇にある『板干場』で雨ざらしにすることで、
余分な渋抜きを行います。
新潟は曇天の空と言われるほど雨量が多いため、
渋抜きに適した気候だと言われています。
余分な渋が抜け表面が灰色になった桐材を工場に取り込み、
職人が鉋でひと削りすると、輝きのある美しい木肌があらわになります。
気の遠くなるような工程ですが、これを行うことで
品格のある佇まいの桐たんすを生み出すことが可能となります。
嫁入り道具としての桐たんす
古くから日本では、桐たんすが嫁入り道具として用いられてきました。
女の子が生まれると家の庭に桐の苗木を植え、
婚礼の頃にその桐でたんすを作って嫁ぎ先へ持たせるという話は有名です。
現在は婚礼たんすを製造することは昔ほど多くはありませんが、
それでも日本の伝統文化・風習として
大切にしていただいている方がいらっしゃることも事実で、
納品の際などは幸せな気持ちをいただきます。
生活道具としての桐たんす
桐たんすの大きな特徴として、
精密な作りと総無垢材であることが挙げられます。
一般的なたんす(チェストも含む)は、
合板と無垢材を併用したものがほとんどで、
桐たんすの製造方法とは全く違う工程で作られています。
まず桐たんすの抽斗(ひきだし)は、
国が認めた伝統工芸士が一台一台丁寧に仕込み作業を行っております。
鉋ひと削りが大変重要な作業で、精度はわずか髪の毛一本分の世界。
抽斗を閉めると隣の抽斗がフっと出てくるのは、気密性が高い証拠です。
これに桐材の調湿作用が加わることで、
内部の着物や衣類を良い状態に保つことが出来るのです。
抽斗底板は三分(約8mm)のベタ底構造で、
一般的な上げ底構造の抽斗よりも強く、板も厚いため大変長持ちします。
基本的にビスや釘は使用せず、
ほぞ組・蟻組といった指物技術によって
パズルのように組み上げられていきます。
総無垢材のため、
木の収縮に耐え切れず早期の故障の原因とならないための工夫です。
大切にすれば100年使えると言われる桐たんすには
確かな理由があるのです。
朝倉家具の桐たんす
桐たんす作りにおいて昔から大切にしていることがあります。
それは、使う人の生活スタイルの違いに柔軟に対応することです。
例えば、江戸間と京間では畳のサイズが違うため、たんすの幅も異なりました。
伝統的な表面塗装の一つである『との粉』の色も、地域によって異なります。
北は北海道から南は九州まで、
お客様の生活圏に合わせたご提案を実践してきました。
現在は地域差が薄くなり、ほぼ全国共通と言っても過言ではありませんが、代わりに個人の好みが多様化していった印象があります。
伝統美を感じさせる従来型から、
和モダン、ナチュラルモダンなどの新しい製品まで、
住まいの変化やお好みに合わせ、幅広く製品開発を進めています。
桐たんすの仕上げ直し
「桐たんすの仕上げ直し」を行なっております。
長年の使用で剥がれ落ちた“との粉”や
付着した汚れに化粧直しを施します。
金具も痛みが激しければ、新しい物に交換します。
可能な限りワレなどを補修して、
もう一度キレイな状態に戻してあげる桐たんすならではのお直し方法です。
総桐たんす 商品一覧
取手と台輪部分にウォールナットを使用することで、都会的な印象を生む総桐チェスト。
優しめの2トーンカラーでナチュラル感たっぷりの総桐チェスト。
落ち着いたチョコブラウン色で温かみがある、和モダンタイプの総桐チェスト。
厚み33mmの胴厚仕様で存在感のある総桐チェスト。
校倉造りを連想させる格子によって、日本の伝統美を取り入れた総桐5段チェスト。
シルバーの箪笥金具が渋い民芸調の小袖たんす。
お着物を多く所有している方にお勧めできる収納力抜群の十段引き総桐たんす。
伝統工芸士を筆頭に桐の匠たちが手掛ける伝統的な和たんす「桜」。